【武侠基礎知識講座】第二弾:内力などの基本的な用語解説
2014.5.26. 12:15 | 閲覧数 6372 | いいね 7
※5/26 12:50 点穴の解説他を追加、修正しました。
やあ! ユウ師兄だぞ!
前回のおさらいはコッチを見てくれ!
今日は何を教えてくれるんですか?
武功の基本となる「内力」やそれに関わる用語についてだ! 今回もマニアックな解説になっているから覚悟しとけよー!?
ちなみに、グーグル先生にそのまま検索かけると違う言葉がヒットするから気を付けるんだぞ!
※なお、以下の解説にはWikipediaを多少参考にしてあります。
内力の概念は実際の武術での用語だと全く違った意味になりますが、本解説では武侠モノでの認識で述べていますので予めご了承下さい。
●内力
体内から生み出される気の力。これを自在に操ることが出来ると、身体の機能を調整することも可能。
射雕英雄伝で賭けに負けた欧陽鋒が周伯通にこう言われました。「お前、屁をこいてみろ」
そしたら欧陽鋒はそれを本気にし、腹に気を貯めて本当にやろうとしたものだから周伯通に止められました。……そんなシーンがあったり。
分かりやすく言えば、ドラゴンボールの「気」というのがこれに当たると思います。
●内功
その内力を使った技を内功と言います。いわゆる気功。
攻撃の他に、他人の怪我を治したりとか、防御に使ったりとか、用途は様々です。「内~」という名前が出てきたら内力に絡むと思ってほぼ間違いないでしょう。
笑傲江湖(ドラマ参考)において東方不敗が刺繍針と糸を自在に飛ばして攻撃する場面がありますが、それは内功によるもの。
エル・カレンさんがふつーの扇でこんなこと出来るのも、扇を内力でコーティングしているからだと考えられます。(最初の争いで扇が壊れたのは二人の内力がそれを上回る程に強かったから、と予想)
ジン・ハズキの銃も恐らく内力込めてるんじゃね? と思いますが。
大体超能力的な攻撃はコッチですね。
●軽功
内力が高いと行える軽功ですが、簡単に言えば、内力を使って行える軽々とした身のこなしは軽功によるものです。
水上飄(水上走飛)が使える程の腕前は武侠小説にはそうそういません。どうやら水の上に立つというのは相当難しいらしく、本来なら何十年もかけて会得したその手の達人、というレベルですね。
空を飛ぶ、というのも本来は出来ませんが、グライダーのようなこと、つまり作中のような飛び方なら大体有り得ます。
●外功
じゃあ「内」があるなら「外」もあるんじゃないの?
……はい。あります。
こちらは気よりも力任せな技ですね。
皮膚とか筋肉を鍛えて、衝撃に耐えられるようにするというもの。
岩が降ってきた時に受け止めたりとか、拳で砕いたりは概ねこっち。
もちろん、内功が強ければその分外功も強くなります。
空手なんかがコレを鍛える武術かと。
あと、以下の解説はもののついでだ! 中にはBnS作中にも関わるものもあるからこっちも覚えておくといいぞ!
●気血
実は漢方でも使われている用語です。
これについてググってみると、生気と血液、経絡の内外を循環する生命力の源。……とあります。
武侠用語としては、気血が流れる通り道を経絡と言うそうで。この辺、筆者は曖昧にしか知らなかったのですが。
本編で白雲先生が「気血が乱れている」等とおっしゃってましたが、気血が乱れると一体どうなるのか?
本来なら内力を使うのに支障が出てしまいます。外功なら何とかなりますが、召還士や魔術士なんてもってのほか。
そのまま使い続けると身体に影響が出て、やがて死に至ることも。
●内傷
BnS作中にある「墨華の傷」なんかがコレに当たります。主に内功によって内臓や経絡そのものにダメージを受けた状態。故に気血も乱れます。ぱっと見だと本当に怪我してるのか謎で、一般人からは「何だか顔色悪いぞ、お前大丈夫か?」ぐらいにしか見られません。皮膚からの切り傷や刺し傷なんかは外傷として区別されます。
北斗の拳で経絡秘孔を突いた場合の「あべし!」はどっちかっていうとコッチに近いかなぁと思いますが、概念が少し違うかも。
武侠小説だとちょっとカスっただけで吐血したりというのは内傷によるもの。
傷が浅ければいわゆる調息で治せますが、深い傷は他人に気を送って貰ったりしないと治せません。十七章でありましたよね。
なお、背中から気を送って血を吐きだす場合もありますが、それは悪い血を吐きだすという意味なので、ダメージを受けているというわけでもありません。
ただ、本当に内力を失った人に気を送っても、逆効果となることがあります。その内力に耐えられないと、治療そのものがダメージとなることも。
相手の武功が強い場合はどうしても回復出来ない時があります。
治療法として一般的なのは、症状にあった漢方薬を飲む、継続的に気を送って貰って治す、自分が強くなって内力を高める、覚えるだけで治療効果のある武功を学ぶ……のいずれかです。
特に4番目は少林寺の出てくる作品では「易筋経」を覚えるというのが多いですが、この場合、少林寺の大師から相当に信頼されないと教わることは出来ません。
なお、元々内力が強ければ、もろに内功による攻撃を食らっても耐えられる場合があります。
あと、作中にありましたが、内傷は心の有り様によっても症状が悪化したり、改善したりします。
内傷を負った状態で怒りや悲しみなど、負の感情を抱き続けると症状は悪化し、どんどん弱っていきます。まさに病は気から、というわけです。
また、武侠モノでは、疲労困憊な人の前で「恋人が殺された」等と話しただけでも吐血してぶっ倒れるというシーンがあります。これも気血の乱れによるもので、内傷に比べれば安静にして薬を飲ませれば大体治るはず。
一番酷いのは、内力を失うという程の怪我。
激しい争いで内傷を負って、内傷を治しても内功が使えない程内力が失われた、という場合、何年もかけて修行して溜め込んだ内力がパァになってしまった、ということになります。
これは単純にMPが空になった、というより、最大MPが0になっちゃった場合を指します。一生モノの傷です。
それでも習得すれば治せるような技もあったりしますが、ほとんどは引退するでしょう……。
他に、毒などで内力を弱らせることもあります。作中ではぱっと見判りませんが、ホン・ドウゲン師匠が少しずつ毒を飲まされていたというのもコレに当たるんじゃないかなと。内傷というか、気血が乱れる、ということでしょうけど。
●脈
内傷を受けました。→ どれ、脈を見せてみろ。
と言われる脈ですが、武侠における脈は血流だけじゃなくて、気血の乱れ方なんかも見られるようです。
優れた医者に診て貰うと、「誰それの●●という武功を喰らったな!?」等と見抜かれたり。どんだけ凄いんですか。
あと、BnSじゃほとんど関係ないかもしれねーけど、こういうのも知っておくと便利だぞ!
●武林
いろんな門派で構成された武術界、武芸者の社会全般を指す言葉。
武林から足を洗う → 武人としてではなく一般人として生きる、ということ。日本なら侍を辞める的な。
●江湖
世の中。世間。武林と間違いやすい用語。
江湖から去ろうと思うんだ……→ 俗世を捨てて静かに暮らしたい時に。
●点穴
てんけつ。岩を破裂させるような某必殺技は本来コレとは違うかと。
人体(動物も?)にある経穴、つまりツボを突いて、動きを封じたり、喋れなくしたり、はたまたエロくさせたりという様々な効果を働かせます。
これを特定の経穴を突いて解くことを「解穴」と言います。
実際、経穴にはいろんな効果があり、東洋医学的には神経に刺激を与えることでそれに繋がる身体の部位に作用させているらしいです。(父の知人で既に亡くなられた鍼灸師に聞きました)
北斗の拳にも色々効果がありますが、あんなに凄い効果は本来ないと思われます。でも、意味を理解するのはアレで充分ですw
つまり北斗の拳の「指先一つでダウンさ~」は点穴で間違いないかと。
BnSのやりすぎで目が疲れた人は目頭のやや斜め上の窪み(晴明)と、こめかみ(太陽)、眉毛の眉間に近い付け根の凹んだところ(攅竹)を軽くぎゅっぎゅっと指で押さえてみるべし。決して強すぎないようにね!
●三回の礼
松林寺で見たことないっすか?
仏前や位牌の前、香を焚く時にペコペコと三回も頭下げてることがあります。線香を上げて拝することを中国語では拝拝(パイパイ)と言います。
他に、弟子入りした時、義兄弟になった時なんかも叩頭(こうとう)と言って地面に三回頭を突くことがあります。
難しいことはさておき、三回の礼は最大限の礼と覚えておきましょう。
どういうわけかドイツのグリム童話でも、中国でも、「3」という数字は縁起がよろしいようで。
他にも色々あるけど、とりあえず今日はここまでだ! まったなー!
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ユウ先輩かわいい!イロイロとハンターハンターの念みたいですねー。記事楽しかったですw
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ありがとうございますw (´;ω;`)作中でこんなふうに教わりたかった。
「念」も概念としては近いと思いますねー。 -
医術と武道は通じているんですね。今回も楽しめるお話ありがとうございます。
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楽しんで貰えて何よりです(*´ω`*)
身体を扱う点では共通部分が多いので、確かに東洋医術も東洋武術も同じ概念があったりしますね。
ただ、武侠モノでは医術だけじゃなくて、釣りや料理一つとっても武術を使ってやってしまうので、武術当たり前な世界になってたりします。 -
秘孔=点穴ってことなんですね、なるほどなるほど・・・。
(工口くさせる点穴の研究をしたいです) -
( ・ω・)正しくは秘孔=経穴を「突く」のが点穴と思われます。
エロくさせる方は実際にやり方があるとかないとか……。
点穴じゃないけど、薬でエロくなっちゃうシーンは「天龍八部」をご覧くださいww -
BnSでは江湖を荒野とか書いててなんかしっくりこない感がありますよね・・・。変に武侠用語変えたりせずにゲーム内のヘルプか何かで用語解説集とかあってもいい気がするのですが・・・。ともあれ、素晴らしい解説でした。勉強になります。
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( ・ω・)あざまーす。
荒野については同感です。
前回の先輩の件といい、荒野じゃないのに荒野はないだろう、と疑問に思ってました。恐らく、荒れた世界=荒野みたいな解釈なのかなと思いますが、江湖って普通に使われている用語なのでそのまま使ってよろしいかと。 -
以前こちらでやった、ざっくばらんな小ネタを専門的に詳しゅう解説したってくれてはる~。
えらいおおきにどす~。
これからもネタ振りしますよって、解説よろしゅうに~。^^ -
c⌒っ.ω.)りょうかいですー
実はそこまで詳しくないかもしれませんがw -
医術といえば、黄飛鴻や孫文なども医術に心得のある人でしたね。前者は東洋医術、後者は西洋医術という違いはありましたケド
ワンチャイシリーズまたみたくなってきました(⋈◍>◡<◍)。✧♡ -
(・∀・)ワンチャイ! ジェット・リーが馬を殴り倒したり、馬上からダブルストレイフィングする映画ッスネ!(何その認識
ワンチャイと言えば主題歌がめちゃ有名な曲で、いろんな映画で出てきますね。歌詞みるとめちゃくちゃ漢臭いですがw
なるほどー黄飛鴻と孫文が医術に長けているのは初めて知りました( ・ω・)Φ...メモメモ -
ワンチャイシリーズでも医者としてでてきますよね((ヽ(๑╹◡╹๑)ノ))♬
実際はあそこまで男前ではないですけど(シツレイ
黄飛鴻は漢方薬局やってたんじゃなかったかなぁと孫文は診療所を開設してたとかナントカ
主題歌!タシカニ歌詞がすっごいですねw -
( ・ω・)実は濃ゆい場面しか知らなくて、じっくり観てなかったんですよー。今度じっくり観てみようかなー。
主題歌のあの曲は中国の古い歌らしく、チャウ・シンチーの「食神」「少林サッカー」「カンフーハッスル」のどれかでも一回流れてた気がする……。他にはジャッキーチェンの酔拳2のラストバトル辺りでも流れたかも。(ぐびぐび飲む辺り)